フランスといえば、エスプレッソやカフェオレなど「コーヒー」のイメージがある人も多いと思いますが、フランスにも100年以上続く老舗紅茶ブランドが沢山あります。
実は紅茶が運ばれたのはイギリスよりも先といわれているフランス。コーヒー文化から紅茶が親しまれるようになった時代背景には何があったのでしょうか?
今回はフランスの紅茶のはじまりと歴史について探ってみましょう。他の国とは違うフランス式の紅茶の楽しみ方や、フランスの代表的な紅茶ブランドも合わせてご紹介します。
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フランス紅茶のはじまり
お茶の伝来は、17世紀にヨーロッパのドイツやイギリス、フランスなどに中国からもたらされたといわれています。
その中でも紅茶大国のイギリスが一番先に伝わったと思いきや、実はフランスの方がイギリスよりも10数年前に紅茶を飲んでいたのです。
フランスに紅茶が伝わったのは1635年、オランダ人によってパリに茶葉が持ち込まれました。
しかし、当時のフランスでは「茶は身体によくない」というフランス医学会の論争により、お茶は全く浸透しなかったようです。その時からフランス市民はコーヒーやチョコレートなどを好むようになり、カフェ文化が流行しました。
ルイ14世も愛飲?万能薬のお茶
そんな中、フランスでお茶を愛飲していた王様がいます。ブルボン朝第3第のフランス国王、ルイ14世です。
ルイ14世は消化器官に病があり、業務にも影響がでるほど病状が酷い時もありました。そんな時に「消化の改善に効果がある」と医師から処方されたのがお茶でした。
万能薬としてお茶を飲んでいたルイ14世は、フランスのお茶を独り占めしようと国内の紅茶の販売を禁止してしまったとか!
その後トルコから持ち込まれたコーヒーにも、健康効果があるといわれコーヒーも飲むようになったといわれています。どちらも最初は嗜好品というよりも、薬のような位置づけだったようですね。
フランス紅茶の歴史~コーヒーから紅茶へ~
フランスの喫茶文化は、紅茶よりもコーヒーが浸透していました。そこから紅茶党が増えていった時代背景を歴史と共に見てみましょう。
カフェとサロン・ド・テは違う?
18世紀のヨーロッパに広まった喫茶文化は、ロンドンよりもフランスが少し先といわれています。その当時はコーヒーを楽しむ「カフェ」が主流で、政治家、哲学者、芸術家などが情報交換の場として使っていました。もちろん、カフェは女人禁制の場。
そこで、男性の社交場であるカフェに変わる女性の社交場として生まれたのが「サロン・ド・テ」です。
サロン・ド・テでは、女性がお菓子と一緒にコーヒーよりも高級な紅茶を楽しみながらおしゃべりを楽しんだといわれています。
女性たちの間で少しずつ浸透していったフランスの紅茶文化も、やはり上流階級の高級な楽しみとして流行り、市民にはまだまだ普及していない時代ですね。
フレーバーティーの発展
その後、紅茶は徐々に一般市民にも流行し、コーヒー文化の深いフランスでも紅茶好きの人々が増えていきました。
そのきっかけとして大きいのが、フレーバーティーの発展です。フランス人は香りを大切にする文化で、紅茶にも花びらやフルーツの香りを付けて楽しみました。それが流行し、数々のフランスらしい紅茶ブランドが誕生しました。
特に有名なのがマリアージュフレールです。マリアージュフレールは「フランス流紅茶芸術」と称賛されるほど、香りに定評がある紅茶ブランドですね。
こうしてフランスでは、他の国とは違う独特の紅茶の文化を築いていきました。
フランス式紅茶の楽しみ方
美味しい紅茶を淹れるためのゴールデンルールがあるイギリスと比べて、フランスは規則に縛られず気軽に紅茶を楽しむことを大切にしています。
またフランスでは、味わいが濃い紅茶よりも軽い紅茶が好まれる傾向があり、渋みが強い紅茶やミルクティーに合うような茶葉よりも、すっきりと軽やかな紅茶が好まれています。
そのためイギリスのようにティーポットに茶葉を入れたまま紅茶を楽しむという飲み方はせず、好みの濃さになったらさっと茶葉を取り出す人が多いようです。
イギリスとは違い、紅茶は形式にとらわれず香りと雰囲気を味わう、というのがフランス式の紅茶の楽しみ方のようですね。
フランスの代表的な紅茶ブランド5選
フランスの紅茶ブランドの商品は、花びらやドライピールを織り交ぜた美しいブレンドティーや、香りが華やかな紅茶などの銘柄が多く感じます。
フランス人が好む、代表的なフランス生まれの紅茶ブランド5選をご紹介します。
マリアージュフレール
フランスの紅茶といえば、やはりマリアージュフレールが有名ですよね。1854年にパリで創業した150年以上もの歴史がある老舗紅茶ブランドです。
世界35ヶ国の上質な茶葉とオリジナルのフレーバーティーは、500種類以上もの銘柄を取り揃えています。高級感のあるブラックの缶に入ったクラシックデザインが美しく、プレゼントにも人気の紅茶ブランドです。
フォション
フォションはフランスの高級食料品店として1886年に創業され、100年以上もの歴史がある紅茶ブランドとしても人気があります。
フォションはフレーバーティーの種類が豊富で、特にアップルティーの人気が高く有名ですね。茶葉の品質も定評があり、世界中の人々から愛されるフランス紅茶の代表格のひとつです。
二ナス
赤い缶が可愛い二ナスは、元々は香料会社として1672年に創業されました。天然の上質なアロマだけを厳選し着香した上品なフレーバーティーは、1900年から販売されました。
ベルサイユ宮殿の農園で育ったりんごの香りを紅茶に加えた「マリーアントワネット」は、希少価値が高く二ナスでも大人気のフレーバーティーです。
クスミティー
クスミティーは、ロシア生まれパリ育ちの紅茶ブランドです。パッケージの可愛さと豊富な種類のブレンドティーがフランス人にも大人気です。
商品は3つのシリーズに分かれており、美容と健康を意識したビヤンネトルシリーズは世界のセレブリティーが愛飲していることで話題となっています。
ジャンナッツ
ジャンナッツは、日本の輸入食品店でも販売しているフランスの紅茶ブランドで、リーズナブルな価格と飲みやすさが人気の紅茶です。
特にオリジナルのベルガモットオイルを使ったアールグレイが人気で、昔から変わらない伝統的な味わいを気軽に楽しむことができます。
フランスのフレーバーティー文化
イギリスでは一日に何回も飲む習慣があるほど、紅茶が生活の一部になっていますね。食事と一緒に飲むことも多いイギリスでは、香りのないブラックティーが好まれる傾向にあります。
一方、フランスでは一般的にはコーヒー文化が主流なため、紅茶は高級品で嗜好品として捉えている人も多いようです。
フランス人は香りを大切にする文化があり、そのため紅茶も香りを楽しめるフレーバーティーやセンテッドティーに人気があります。
形式にとらわれず、気軽に紅茶と香りを楽しむフランスの紅茶文化もとても素敵ですね!フレーバーティーがお好きな方は、ぜひフランス紅茶を飲んでみてはいかがでしょうか?
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