紅茶に合うお菓子は世界中にあります。その中でもイギリス、フランス、ドイツ、北欧で親しまれている、とびきり美味しいスイーツをご紹介します。
第5回目は、フランスの伝統菓子「カヌレ」です。
華やかなフランス菓子のイメージとは違い見た目は非常に地味ですが、ひと口食べればその食感の楽しさにびっくりするはずです。
カヌレファンは以外に多く、実は私もその一人。ケーキ屋さんやパン屋さんでカヌレを見つけると買わずにはいられません。素朴ですがそれくらい魅力的なお菓子です。
今回はそんなカヌレの歴史や作り方をご紹介します。焼き立ての美味しさは自分で作るから味わえるもの。カヌレ好きの方はぜひチャレンジしてみてください。
Contents
カヌレってどんなお菓子?
カヌレはフランスの伝統菓子で、正式名称は「cannelé de bordeaux(カヌレ・ド・ボルドー)」といいます。
主な材料は卵、バター、砂糖、牛乳、小麦粉、ラム酒、バニラです。これらを混ぜ合わせた生地を一日寝かせ、専用カヌレ型に流してオーブンで焼き上げます。
高温で焼き上げるため、表面はカリッと中はしっとりもちっとした食感が特徴です。この食感のコントラストがカヌレの美味しさの秘密。
日本では1995年頃のスイーツブームの時に広く知れ渡り、以来洋菓子店・ベーカーリーでもよく見かけるようになりました。最近では専門店も多く話題ですよね。
ちなみにカヌレは「溝のついた」という意味で、その通り溝のついた専用の型で焼き上げます。
シンプルな材料だからこそ作る人によって焼き上がりが違い、とても奥が深いお菓子ともいえます。
カヌレの美味しい食べ方
お店で購入したカヌレをそのまま食べても良いですが、さらに美味しく食べる方法をご紹介します。
①5分ほどオーブンで焼く
時間が経つとカヌレの表面はどうしても柔らかくなってしまいます。そんな時はオーブントースターで5分ほど焼くと、焼き立てのようなカリッとした食感が復活します。表面が焦げないように時々向きを変えて、まんべんなく熱が当たるように調節しながら温めましょう。
②冷蔵庫で30分ほど冷やす
中身のしっとりもちっと感を強調して食べたい時は、冷蔵庫で30分ほど冷やすのもおすすめです。常温で食べる時よりも甘さ控えめに感じ、よりデザート感が増します。
カヌレの歴史
カヌレの発祥は、フランスのボルドー地方。ボルドーといえばワインが有名ですが、カヌレが誕生した背景にもこのワインが大きく関係しています。
ワインを作る時に出る澱(おり)を取り除く時に、当時は大量の卵白を使っていました。しかし卵黄が余ってしまうため、その利用法として考えられたのが「カヌレ」だといわれています。
ボルドー女子修学院で作られたため、正式名称が「カヌレ・ド・ボルドー」なんですね。18世紀頃に誕生したカヌレは長い年月をかけて伝えられ、今では世界中の人々に愛される存在となりました。
素材を無駄にしないという想いが、美味しいお菓子を誕生させたんですね。
専用型で焼く本格「カヌレ」に挑戦!:レシピ
コロンとした小さな形が可愛いカヌレ。本格的なカヌレは型に蜜蝋を塗って焼きますが、今回はバターで代用します。どちらも美味しく焼き上がりますよ。
[カヌレ型10個分(5個で作る場合は半量にしてください)]
- 牛乳/500㏄
- グラニュー糖/240g
- 薄力粉/90g
- コーンスターチ/40g
- 卵黄/3個(約46g)
- 全卵/1個(約54g)
- 無塩バター/30g
- ラム酒/50㏄
- バニラペースト/適宜
- 分量外型用バター/適宜
- 無塩バターを湯煎で溶かし、ラム酒を加えて合わせておく。薄力粉とコーンスターチは合わせて一度ふるっておく。
- 手鍋に牛乳をいれて60℃まで温める。
- ボウルに粉類、グラニュー糖を入れて泡立て器で全体を混ぜる。卵黄、全卵、バニラペーストを加えて混ぜる。溶かしバターとラム酒を加えて、粉気がなくなるまでよく混ぜる。
- 温めた牛乳を一気に加えて、よく混ぜ合わせる。漉し器でこして表面にラップをし、冷蔵庫で12時間以上休ませる。
- カヌレ型にバターをたっぷりと塗っておく。冷蔵庫から生地を取り出したら全体を静かにまぜ、生地を均一にする。型の7~8分目くらいまで生地を流し、220℃のオーブンで15分、その後180℃に下げて40~50分程焼成する。
- 型から外してみて焼き色が薄いようなら焼き時間を追加する。しっかり焼き色がついたら出来上がり。
- 牛乳は必ず60℃に温めます。
- 型に塗るバターはたっぷりと!少ないと型から外れにくくなります。
- 生地はしっかりと寝かせることで、もっちりとした食感になります。寝かせ時間が少ないと焼成中に型から浮いてしまう原因にもなるので気をつけましょう。
- オーブンの温度が低い場合も生地が浮いてしまう原因に。オーブンによって温度の上がり方やクセが違うので、焼成時間はあくまで目安にしてください。
- 温度が低すぎると焼き色が上手くつきません。その場合は設定温度を上げて焼いてみてください。
カヌレの賞味期限について
カヌレは焼き菓子なので、2~3日は常温でも美味しく食べられます。ただし梅雨や夏場など湿気が高い時期は冷蔵庫で保存するのがおすすめです。
またすぐに食べきれない時は冷凍保存も可能です。一つずつラップに包んで保存袋に入れてから冷凍庫に入れましょう。冷凍保存の場合は2~3週間以内なら美味しく食べられます。
カヌレに合うおすすめ紅茶たち
ティーインストラクターでもある私がおすすめする、カヌレに合う紅茶をご紹介します。色々な紅茶とのマリアージュを試して、お気に入りの組み合わせを見つけてくださいね。
ネパール産春摘み紅茶SFTGFOP-1
カヌレは表面のキャラメルの様な香ばしさと、中身のカスタードのような濃厚な味わいが特徴です。小さいけれど結構甘みが強いので、爽やかで若々しい香りの紅茶が良く合います。
linkteaの春摘み紅茶は、新芽たっぷりの茶葉を丁寧に手摘みでピッキングし、グリーニッシュな香りと味わいに仕上げられた逸品。
完全発酵させていないので後味の香りが口の中でより一層広がり、茶葉本来の甘さと青々しさが楽しめます。一緒に飲むことで濃厚なカヌレを軽やかにしてくれます。
キームン
ラム酒の香りがきいた大人の味わいのカヌレ。ちょっとクセのある紅茶とも良く合います。
キームンはスモーキーな香りが特徴の中国紅茶。フランス菓子と合うの?と思われるかも知れませんが、これが非常に絶妙なペアリングです。
キームンの燻製香とラム酒の香りがマッチして、大人のマリアージュを楽しめます。ミルクを入れても美味しいですが、まずはストレートで試してみてください。
アールグレイ
ベルガモットという柑橘系果実の香りをつけた紅茶アールグレイ。世界中で愛されているフレーバーティーで、誰もが一度は飲んだことがあるのではないでしょうか?
フルーティーな香りのアールグレイは、どんなお菓子とも良く合います。
おもてなしの時や、華やかなティータイムを楽しみたい時におすすめの組み合わせです。
フランス流ティータイムを楽しもう
見た目の可愛さと味わい深い美味しさのカヌレは、フランスのティータイムでも人気のお菓子です。
カヌレを焼くためには専用の型が必要で、お店では本格的な銅型を使うところがほとんどです。
しかし最近は、手頃なテフロン型やシリコン型なども売られているので、気軽にご家庭でカヌレを焼いて楽しむことができます。
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