紅茶

【世界の紅茶事情】インドの紅茶栽培の始まりと歴史について

紅茶の生産量、消費量共に世界第1位のインド。紅茶産地国として世界的にも有名ですが、インドで紅茶栽培が始まったのはいつ頃かご存知ですか?

中国のように紀元前からお茶の栽培をしていそうなイメージですが、実はそうではありません。インドで紅茶の栽培が広まったのは、19世紀イギリスによってでした。

そんなインドの紅茶栽培の始まりから成功まで、そして新たな品種「アッサム種」の発見について歴史を辿ってみましょう。

インドの紅茶を飲もうとしている方は、ぜひ参考にされてみてください。

東インド会社とイギリス


1600年にイギリスの紅茶貿易の始まりとなる、東インド会社がインドに設立されました。

貿易の窓口となる取引所は、マドラスやベンガル、ボンベイなどに作られ、インドはイギリスの支配下となり植民地化していました。

18世紀始めまで、イギリスは中国との茶貿易が盛んでしたが、中国よりも近く植民地であるインドで、お茶の栽培をしようと考え中国種の栽培を始めました。

しかし、中国種はインドの気候や土地に合わず、失敗を繰り返していました。

東インド会社は、それまで特権的な地位を確立していましたが、1763年に起こったフレンチインディアン戦争や、中国との貿易独占権を失ったことが致命的になり、少しずつ衰退していきました。

アッサム種の発見


それまで、茶の品種は中国種しかないと思われていましたが、インドのアッサムの北東部で自生している新たな茶の品種が発見されました。それが「アッサム種」です。

アッサム種は、冒険家で通商のロバート・ブルース少佐によって見つけられ、弟のチャールズ・ブルースはアッサム種を紅茶にするための茶園栽培を始めました。

アッサム種の紅茶は長い開発期間を経て、1838年ロンドンのティーオークションに出品し、高品質で優秀な茶葉であると高い評価を受けました。

これによりインドはアッサム種の栽培を拡大し、インドは一躍紅茶大国となりました。アッサム種は中国種よりも茶葉が大きいので、大量生産しやすい利点もあったのです。

また、1841年にはインド北東部西のダージリン地方で中国種の茶栽培が始められました。寒暖差の激しいダージリンでは、中国種が育つことが発見されました。

アッサム種と中国種の2種を栽培することができるインドは、その後中国をしのぐほどの茶生産量で、世界でも有数の紅茶生産大国となっていきました。

チャイは国民的飲み物?


イギリスによってインドでの紅茶栽培が盛んになると共に、それまで紅茶を飲む習慣のなかったインド人も紅茶を飲むようになりました。

しかし、良質な茶葉はすべてイギリスに輸出されてしまうため、国内に残る紅茶は粗悪な細かい茶葉だけです。

そこで、品質の劣る細かい茶葉(BOPやダストなど)を美味しく飲むために、茶葉とミルクを煮込んで作る紅茶「チャイ」が人々によって考案されました。

チャイは砂糖とミルク、そして現地でとれるスパイス類を入れ、茶葉の味をしっかり煮出して作ります。

その甘さとスパイスの香りが、インドの猛暑の中で人々の疲れを取り除いてくれる栄養源となり、国民的飲料としてなくてはならないものとなりました。

インドの紅茶産地


インドには大きく分けて、2つの茶産地があります。ひとつはヒマラヤ山脈近くの北東部、そしてインドの南部です。

それぞれの産地で栽培されている紅茶の特徴についてご紹介します。

北東部

ダージリン

インド西ベンガル州の最北端、ブータンとネパールに挟まれた東ヒマラヤ連峰カンチェンジュンガの山麓に位置する高原地帯。

かつてイギリスの避暑地として開発された市街があり、その周辺一帯の標高500~2000mの尾根と沢に沿った急傾斜に茶樹が植えられている。

大小様々な茶園が広がり、現在では約90ほどの茶園でお茶の栽培が行なわれている。ダージリンにはクオリティシーズンが3回あり、世界三大銘茶の一つとしても有名。

華やかな香気と爽快な渋みが特徴で、水色は明るいオレンジ色をしている。特にセカンドフラッシュ特有の香気はマスカテルフレーバーと呼ばれ、茶葉は高値で取引される。

アッサム

インドの北東部に位置するアッサム州。大河ブラマプトラ河流域に茶産地が広がり、周囲にはバングラデシュ、ミャンマー、チベットが隣接する。

大河がもたらす豊かな土壌と、モンスーンによる世界有数の降雨量など、茶栽培に最適な気候条件に恵まれた世界最大の茶産地である。

甘く芳醇な香りと、熟成した濃厚な味わいは「モルティーフレーバー」と呼ばれ、水色は濃い赤褐色で、ミルクティーに向いている。

茶葉の90%がCTC製法で生産されているが、クオリティシーズンにはオーソドックス製法のリーフタイプも作られている。

ドアーズ

ベンガル平野のテイエスタ川の東からアッサム州の境まで、バングラデシュと山岳部に挟まれた平坦地がドアーズの茶産地。

紅茶の香味はあっさりとしており、濃い水色が特徴。強い渋みはなく、ブレンドやティーバッグとして使用されることが多い。茶葉はほぼCTC製法で作られている。

ドアーズ紅茶についてもっと知りたい方は、こちらの記事もご参考ください。

ダージリンやアッサムに負けない!インド紅茶「ドアーズ」の魅力「日本の紅茶市場にはあまり出回ることがない」といわれているドアーズ紅茶について、味や香り・おすすめ商品についてもご紹介します。...

テライ

ドアーズからヒマラヤ山脈に沿って西に進み、ネパールまで続く平坦地にテライの茶園が広がっている。

収穫される紅茶は、味、水色共に濃く、軽い渋みがあるのが特徴。ほとんどがCTC製法による茶葉で、主にインド国内向けの紅茶が生産されている。

シッキム

シッキムはダージリン北に位置し、チベット自治区に接するかつての王国で、1975年にインド25番目の州となった。

シッキムには茶園がひとつしかなく、唯一のテミ茶園は州政府が管理している。気候はダージリンに似ていて、3~11月頃までお茶が生産されている。

年間生産量は少ないが、丁寧に作られた紅茶は渋みが少なく、非常に穏やかで芳醇な味わいが特徴。水色はやや濃いめのオレンジ色をしている。

シッキムの茶園については、こちらの記事でも解説しています。

インド紅茶の中でもシッキムは別格?幻の農園「テミ茶園」とは今回は、シッキムに唯一存在しているといわれている「テミ茶園」にも着目し、味わいやおすすめ商品をご紹介していきたいと思います。シッキムの場所や歴史、シッキムの紅茶の味や香りなど詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。...

南部

二ルギリ

南インドのタミールナドウ州にある西ガーツ山脈の丘陵地、「青い山」を意味する二ルギリ高原で生産されている紅茶。

南インドは地理的な条件から、気候もスリランカに似ており、セイロン紅茶を思わせる香味をもつものもある。

くせのない香味とマイルドな味わいが特徴。良質な茶葉には爽やかな香りと適度な渋みがあり、水色は明るく赤みのあるオレンジ色をしている。

インド紅茶の歴史と繁栄

いかがでしたでしょうか?

インドの紅茶栽培の始まりと歴史についてご紹介しました。

インドが紅茶生産大国になった背景には、イギリスの東インド会社の大きな力とブルース兄弟によるアッサム種の発見と栽培が大きなきっかけとなりました。

その後、ダージリンや南インドでも茶栽培が始められ、現在ではインドは世界第一位の紅茶生産国として有名になりましたね。

インド紅茶は、その高い品質と味わいの豊富さで、世界中の紅茶好きから愛されています。

インド紅茶を飲むときは、その歴史にも想いを馳せてみるのも良いですね。

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パティシエ兼ティーインストラクター。今までの知識と経験を活かし、皆様に紅茶の素晴らしさを伝えるため、webライターとして活躍中。美味しい紅茶は人生を豊かにしてくれます。好きな紅茶はダージリンオータムナル